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東洋経済新報社130周年記念イベント
「みらいへの羅針盤
100年企業をつくるブランド戦略」
イベントリポート

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東洋経済新報社は2024年11月11日、都内にて「みらいへの羅針盤 100年企業をつくるブランド戦略」をテーマにイベントを開催しました。1895年に創業し、2025年に創業130周年を迎える小社は、第2次世界大戦やバブル経済などさまざまな荒波を生き抜き「健全な経済社会」に貢献してきました。経済社会を取り巻く環境が大きく変化する中、企業が継続的に成長し続けるためには「ブランド価値」の創造が欠かせません。次の100年を見据えてブランド価値や戦略についてどう考えていくべきなのか。今回のイベントでは歴史ある企業でブランド戦略を先導してきた実績を持つスペシャリストが語り合いました。

「日本の民主主義」を守るために

 イベントのオープニングセッションは、東洋経済新報社代表取締役社長の田北浩章のあいさつでした。
 田北は、1895(明治28)年に創刊した『東洋経済新報』からはじまり、『会社四季報』、書籍事業、データ事業、そしてオンライン事業へと事業領域を広げてきたことを踏まえ、今後の展望を話しました。

「小社の展開する『東洋経済オンライン』は、ほとんどの記事を無料で読むことができます。より多くの人たちが良質な経済情報を得ることが大事な時代に、『東洋経済オンライン」は、お金をかけることの難しい学生時代から触れることができる情報源です。
書生論かもしれませんが、私は日本の民主主義を守るために無料の東洋経済オンラインをやっていくことを強く訴えています。こうしたことを実現できるのも、多くの企業の皆様からご支援していただけるからです。そうでなければ良質な経済情報を出し続けることはできません。『東洋経済オンライン』は2025年リニューアルします。さらに皆様のお役に立てるようなサイトを目指していきたい。ぜひ今後とも引き続きご支援を賜りたいと存じます」
 

企業に社会的課題の解決を期待する時代へ

 メインセッションは「100年企業をつくるブランド戦略」をテーマとしたパネルディスカッションです。
 グローバル社会に長く貢献してきたP&Gやコカ・コーラでの経験を持つJukebox Dreams 代表取締役CEO和佐高志氏、日本発のグローバル企業として高いブランド価値を誇るヤマハのブランディングを担当してきたtrine代表取締役大村寛子氏、そして、モデレーターにさまざまな事業会社での支援経験を持つインターブランドジャパン シニア・エグゼクティブ・ディレクター佐藤紀子氏を迎え、変わりつつあるブランドそのものの価値や戦略について次の100年を見据えて議論が行われました。

 まず佐藤氏は、和佐氏と大村氏に対して、「日本は100年以上存続している企業の数が多く、世界の中でも4割ほどが日本企業だとされています。その理由は同族系オーナー企業が多いからだといわれますが、100年企業が存続する方法として、そうした捉え方だけでいいのでしょうか」と問いかけました。
 そのうえで、世界的なPR会社の信頼度調査である「2023エデルマン・トラストバロメーター」のデータを紹介しました。データでは、世界中で政府・メディアの信頼度が大きく下がる一方、企業の信頼度はアップしていることが示されていました。

 和佐氏はインターネットの普及により、企業からイノベーションが生まれ、人々が企業に対して社会的課題の解決を期待するようになったと指摘しました。
「ここ20年ほど、インターネットによって企業はさまざまなイノベーションを起こしてきました。検索、通販、コミュニケーションなど、今ではスマホを使ってすべてのことが手のひらの中でできるようになりました。これからのイノベーションは今後AIが軸となり、どんどんAIは社会に浸透していくでしょう。このように私たち市民を進化させてくれたのは企業であって、政府ではありません。これからサステイナビリティーが重視される時代にあって、社会を牽引する存在として企業への期待はますます高まっていくと考えています」


 大村氏は、和佐氏の指摘に加え、企業同士が手を取り合っていく必要性を伝えました。
「そもそも企業は営利組織ですが、今の時代はそれだけでなく、社会的価値をつくり出すことも求められています。企業は社会的課題を解決するソリューションを提供することが当たり前となっているのです。ただ、社会的課題を解決するのは簡単ではなく、非常に複雑で、課題解決が営業利益に直結するわけではないので、消極的な企業も少なくありません。社会的課題の解決は1社で実現できるものではなく、業界全体、日本全体で取り組む必要があるのです」
 

リーダーは情熱をもって根気よく最後まで諦めない

 企業は今、従来の物やサービスを超えた期待を受けていると佐藤氏は言います。そうした中で、企業のブランド戦略はどうあるべきなのでしょうか。
 大村氏はヤマハでのブランディング事例を交えながら、ブランドとして顧客の関係構築に必要なことを説明します。
「ネット上で、情報のオーバーフローが加速する中、消費者の意識は分散するようになっています。こうした中、企業はどう顧客と会話して関係性を密にしていくかということは非常に重要です。その道しるべとなるのがパーパスです。そこからブランドの一貫性を保つために社員の内部文化を醸成していくことが不可欠です」
 

trine代表取締役
大村寛子氏

 そのうえで、「顧客主導の共創、インクルーシブなストーリー展開、プロダクトサービスの自己進化、地域・社会課題密着型のブランディング、エシカルコミットメントを行動で示す取り組みなどが重要になっています」とブランディングでは新たな取り組みが求められるようになっていると続けました。


 和佐氏も、「やはり企業のパーパスは重要で、ストーリーとして社員の末端までパーパスを実行して広く顧客に伝えることが大切となっています」と企業を含め社会全体でパーパスを浸透させる必要性を強調します。
「例えば、100年以上の歴史を持つコカ・コーラには『Refresh the World. Make a Difference.』というパーパスがあります。このパーパスを基に社員たちはハピネスやコネクティビティ、サステイナビリティ―を徹底して行っています。重要なのはそれだけではありません。私は企業が世界的なブランド戦略を持つことも不可欠だと考えています。今後は日本だけを視野に入れるのではなく、人口減少や少子化が進む中、世界を見てブランド戦略を構築していくことが必要となっているのです」

 こうしたブランド戦略は視座を高め、戦略をつくるだけでは足りません。まさに「言うは易(やす)く行うは難(かた)し」で、組織の中に落とし込んで行動として実践していくことが不可欠となります。そのためにも社内のハードルやリアリズムを乗り越えるべきだと佐藤氏は指摘します。

 では、どのように行動によってハードルや軋轢を打破していけばいいのでしょうか。
 和佐氏は、これまでの経験から「根気強く諦めない姿勢」こそが必要だと明かします。

「私がコカ・コーラで働いていて、『綾鷹』『太陽のマテ茶』『ジョージア』のプロダクトブランディングを手がけた際も社内のハードルが高い状況でした。だからこそ、リサーチを徹底し情報を持って根気よく周りを巻き込むこと。そして、消費者にブランドについて伝えるときに、妥協せずに本気の投資をすること。それは必ず反対に遭いますが、負けずにやりきること。また不可抗力によって失敗することもあれば、リサーチではわからないこともあります。しかし、リーダーは情熱を持って根気よく最後まで諦めないことが大切なのです」
 そのコメントを受け、「これからは未知のことに挑んでいくことも必要になる。そのためには、企業の中でトライ・アンド・エラーができる寛容さも欠かせない」と佐藤氏は強調しました。
 

インターブランドジャパン シニア・エグゼクティブ・ディレクター
佐藤紀子氏

 大村氏も同意を示します。
「もしかしたらいちばんの障壁とは昨日と同じことをやっていたい自分なのかもしれません。そうなるのは楽だからです。でも、それではブランドが衰退してしまいます。障壁を乗り越えるには社内のマインドを改革して、コーポレートブランドを向上させていくことが欠かせません。企業によってはコーポレートブランドよりプロダクトブランドのほうが強い場合もあるかもしれません。しかし、コーポレートブランドを磨いたほうが、メリットが大きいことを忘れてはなりません。コーポレートブランドが強い企業こそ、長く生き残ることができるのです」
 

企業のメッセージ発信は、伝え方が重要

 ブランド戦略を進めていくには、どう顧客に伝えていくかも重要になります。企業の姿をどのように発信していくのか。いわゆる、発信力、伝える力も強化していくことが欠かせないと、佐藤氏は強調しました。その問いかけに対し、和佐氏がこう答えます。
「今コカ・コーラでは、日本で商品に使われるペットボトルの半分以上をリサイクルしています。新たな石油原料はいっさい使っていません。実はペットボトルほどエコなものはないのです。これを2030年までに他メーカーとも共同でリサイクル100%を実現する方針です。また、社員も環境保護活動に携わるなど、小さいことからコツコツ始めて、徐々にコカ・コーラのサステイナビリティ―に対する消費者の認知度は上昇し、サステイナビリティ―に貢献しているブランドとして見られるようになっています。目の前の一つひとつのことをやっていく。継続とコミットメントがとても大切なのではないかと考えています」 


Jukebox Dreams 代表取締役CEO
和佐高志氏

 それを受け、発信されるメッセージと具体的な取り組みが結び付いていることは非常に重要だと佐藤氏は指摘します。
大村氏は「企業の発メッセージ信は、いかに第三者の方に口コミなどで話してもらえるかにかかっています。コカ・コーラさんのように具体的な事例があれば、話しやすいし、話題に上りやすいでしょう。これからは企業の発信が社会にどうインパクトを与えるか。どう社会を変えていくのか。そうしたことを意識していくことが必要になります。そのためにも、共感を生むストーリー、話したくなるようなフック、話として単純化できることなどが大切になっているのです」と、第三者に伝わることの重要性を伝えました。

 最後に佐藤氏は、「企業が伝えたいことを、第三者に発信することは非常にハードルが高いです。そこで、顧客に伝わりやすいように具体例を交えて、どう伝えていくのか。そのために、ブランド戦略の中で、企業は今後とも自己変革を続けていくことが必要になっていくでしょう」と語り、セッションを締めくくりました。

 

新しい未来を築き上げていくべく力を尽くしていきたい

 クロージングセッションとして東洋経済新報社ビジネスプロモーション局長の山田徹也が感謝のあいさつを述べました。
「これまで弊社も130年間にわたって、時代の変化に対応しながら、進化・成長を遂げてきました。次の100年に向けて、さらなる挑戦が求められています。これからも皆様とともに、新しい未来を築き上げていくべく力を尽くしていきたいと心より願っております」
 全セッションの終了後に開催された懇親会には、多くの方々にご参加いただきました。
乾杯のあいさつで、『週刊東洋経済』編集長の西澤佑介が「私たちが提供する記事を読む方々は、ビジネスの最前線で活躍されています。とりわけ、意思決定に携わる方々が多く、情報感度も高い。そうした意思決定層に愛されるようなメディアになっていきたい。100人の経済記者・専門記者が持っている取材力、客観性、中立性、丁寧な分析力にさらに磨きをかけながら、今後とも進化していきたいと考えています」と、『週刊東洋経済』の最新号を片手に、東洋経済新報社のコンテンツの未来について思いを述べました。


『週刊東洋経済』編集長 西澤佑介

 

おわりに

ビジネスプロモーション局では東洋経済新報社130周年を記念した特別広告メニューをご用意いたしました。この機会に、ぜひ広告のご出稿を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
 東洋経済新報社130周年 特別広告企画 企画書