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事例紹介

サントリーが目指すデジタルコミュニケーションデザイン

サントリーが目指すデジタルコミュニケーションデザインサントリーが目指すデジタルコミュニケーションデザイン
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マスメディアからリアル及びデジタルまで、あらゆる領域で常に第一線にてマーケティング戦略を展開しているサントリー社。では、具体的に全体のマーケティング戦略の中で、デジタル領域においては、どのようなコミュニケーション設計をされているのでしょうか。サントリーでデジタルコミュニケーションを横断的に担当するサントリーコミュニケーションズ(株)デジタルマーケティング本部部長兼宣伝部部長の馬場直也氏にお話を聞きました。

飲料・食品関連で国内大手の一角を占めるサントリーホールディングスでは、グループのコミュニケーション部門を統括する企業として、サントリーコミュニケーションズを有している。今回登場する馬場直也氏は今年4月から同社のデジタルマーケティング本部部長兼宣伝部部長としてデジタルコミュニケーション全般を統括している。

もともとサントリーでは、多数のブランドを展開すると同時に、コミュニケーション方法として、オウンドメディアだけではなく、早くからSNSも積極的に活用するなど多数の成功事例を有している。その一方で、オウンドメディア、アーンドメディアなどをはじめとして、多くの記事メディアにおいてもペイドの施策を展開しているが、そこにはどのような戦略があるのだろうか。馬場氏は次のように語る。
「デジタルの特性を生かしたターゲティング、SNSで双方向のコミュニケーションを活用していくのはもちろんですが、サントリーのファンを増やす、あるいはブランドを好きになってもらうために、お客様の気持ちをどう動かしていくのか。そこを基本とした戦略は、デジタル上であっても、何ら変わることはないと思っています。例えば、同じ環境で一気に情報を伝えられるのがテレビだとすれば、デジタルはスキップもできれば、見ているタイミングも人それぞれ。その中でどのようなコミュニケーションが効果的なのか、そこをつねに注視しているのです。デジタルについても、テレビを補完するだけでなくデジタルオリエンテッドなコンテンツを積極的に展開していきたいと考えています」

馬場氏が所属するデジタルマーケティング本部は各ブランドを横断して施策を講じる立場となるが、そこに共通する方針、または独自に意識しているポイントとしては、どのようなものがあるだろうか。
 


「サントリー宣伝部は100年以上の歴史があり、宣伝の力を信じ、大事にしている会社です。宣伝は世の中に絶対必要なものではない、だからこそお客様に私たちの宣伝に触れていただいたのなら、少しでも前向きな気持ちになったり、明るくなったりしてほしい。そんな人の心を前に動かしていく宣伝を心がけています。そうしたDNAをデジタルでも引き継いでいく。サントリーらしいデジタルコミュニケーションとは何か。そうしたことをいつも考えています。」

実際、角で行なった『ハイボール』にせよ、ザ・プレミアム・モルツで行った『プレミアムビール』にせよ、その宣伝には何らかの新しい提案があり、キャラクターを活用しながら人の心を引きつけていく狙いがある。そのためにも、馬場氏はつねに新しい表現方法にチャレンジしていく姿勢を大事にしているという。
「デジタル分野においても、私たちが新しくて、面白いと感じるものにつねに積極的にチャレンジしていく。まさに『やってみはなれ』の精神で、テレビ、新聞、雑誌、デジタルといったメディアの種類にとらわれず、これまでやったことのないものに対し、つねにチャレンジしていくことを大切にしています」

では、同社では年間を通じて、マーケティングの施策を行っていく中で、消費者とのコミュニケーションにおいてどのような点を重視しているのだろうか。
「デジタルでは再生回数やリツイート数といった数値と、リアルでは購入もそうですがすべてが把握できる訳ではないので好意度や購入意向といったブランドの指標を結び付けて分析するようにしています。そもそも飲料製品の動きは天候や実店舗での販促などの影響を受けやすいのですが、最近ではツイッターやTikTokなどで大きく製品が動く事例も増えています。テレビとデジタルについても、テレビで見たものをツイッターでつぶやくように、私たちはテレビとデジタルを分けて考えることはあまりしていません。」

ただ、昨年からのコロナ禍はコミュニケーションのあり方についても大きな変化をもたらしたはずだ。その点はどうなのだろうか。馬場氏が語る。
「コロナ禍で多くの人がテレワークもそうですし在宅でデジタルと常時接続しているような行動をとるようになって、デジタルの活用についてもワンステージ上がったと私は考えています。もし未来から今を振り返れば、2020~21年は1つの大きな転換点になったと思うのではないでしょうか」

その一方で、同社では飲食店やイベントなどリアルな場も大事にしており、その重要性もより高まっているという。とくにコロナ禍では、デジタルとリアルを結び付ける施策を手探りで議論しながら行ってきた。



「私は25年続く“サントリードリームマッチ”という東京ドームで実施しているプロ野球OBの方の夢の祭典イベントを担当していますが、今年はコロナ禍で無観客、デジタル配信という形を取りました。従来なら無観客で中止せざるをえなかったイベントですが、デジタル上での配信という形で少しでも日本に元気を届ける事が出来ました。会場内だけでなく全国に映像を届けられたことは非常に大きいと感じましたし、デジタル上でのお客様とのやり取りを交えた応援実況や、選手に迫る迫力ある映像等デジタルならではの魅力も見つかりました」

では、これから同社が進めようとしている新たなデジタル戦略とは何か。
「デジタルの大きな強みはターゲティングできることですが、個人情報保護やcookie規制が高まる中これからオウンドメディアの重要性がより高まっていくと考えています。実際、私たちもLINEやフェイスブック、ツイッター、インスタグラムの企業アカウントを持ち、多くの方々にフォロー頂いていますが、これからは企業アカウント以外で別の新たなオウンドの形を模索していきたいと考えています。すでにサントリー公式バーチャルYouTuber『燦鳥ノム(さんとりのむ)』やサントリー公式バーチャル社員『山鳥水生(やまとりみずき)』といった取り組みなども始めており、このキャラクターのファンを作ることを通じたサントリーのファン育成という施策にトライしているところです。」
サントリー公式バーチャルYouTuber『燦鳥ノム(さんとりのむ)』(左)
サントリー公式バーチャル社員『山鳥水生(やまとりみずき)』(右)


最後に、東洋経済オンラインをはじめとした記事メディアに対する期待について聞くと、次のような答えが返ってきた。
「東洋経済オンラインは経済メディアとして信用力も高く、編集力や世界観もしっかりしています。そうした世界観に合う私たちのブランドを記事コンテンツといった形で紹介していきたい。またブランドのファンからリアルな声で語っていただく、そうした第3者的な語り手としてブランドのファンを発掘しアサインしてもらうことを期待しています。そして、社会のトレンドをお互いに捉えながら、お客様の興味に寄り添った記事コンテンツを展開し一緒に時代の大きな波を創っていきたい、そう考えています」
 

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