自社のブランドや製品・サービスをプロモーションする手法の1つに、カスタム出版があります。ブランドストーリーや自社サービスに込めた思いなどを書籍やムックにして書店で販売するというものです。ほかの広告手法に比べ手間も時間もかかりますが、それに見合う価値があると考えるお客様がいらっしゃいます。
でも、カスタム出版は実際のところどうなのでしょう? 効果は? そして売り方は?
少し聞きづらいこの質問を、東洋経済新報社ビジネスプロモーション局ブランドスタジオ・カスタム事業部の向笠公威(むかさ・きみたけ)にぶつけてみました。
でも、カスタム出版は実際のところどうなのでしょう? 効果は? そして売り方は?
少し聞きづらいこの質問を、東洋経済新報社ビジネスプロモーション局ブランドスタジオ・カスタム事業部の向笠公威(むかさ・きみたけ)にぶつけてみました。
本は「情緒」を伝えることができる
――これまでの向笠さんのキャリアを教えてください。
1997年、新卒で出版社に入社し、初めはオカルトやストリートファッションなど雑誌の企画・編集を、その後ムックや書籍の編集を担当しました。編集ページだけではなく、広告主とのタイアップ企画にも多く関わらせていただきました。キャリア二十数年というところで一度編集者を辞めてブランドコンサルタントの仕事をしていましたが、縁あって2022年に東洋経済新報社に入社しました。
現在は、ビジネスプロモーション局ブランドスタジオ・カスタム事業部で、お客様のご要望に応じた書籍、広報誌の企画・制作を行っています。
どのページに何を載せるかを整理した台割を作るところから、スタッフやライターのアサイン、原稿のチェックや修正、タイトルコピーの作成まで、雑誌制作のあらゆる事柄が業務範囲になります。
――向笠さんが現在担当されているカスタム出版とは、そもそもどういったものなのでしょうか。
まず、カスタム出版と自費出版は違います。自費出版は主に個人の方が自分で原稿を書いて、それを出版社から刊行してもらうものです。自分の思いを形にすることが重要なので、極端な話、例えば多少内輪向けのわかりづらいものであってもいいんです。
一方カスタム出版は、主に企業が特定の「目的」を持って、不特定多数の人に広く届けることを目指します。お客様の「目的」を達成するために、プロの編集者が構成、見出し、タイトル、コピー、表紙デザイン、帯コピーまでトータルでプロデュースします。お客様が伝えたい事柄を、編集の力で魅力的な本に加工することで、より多くの人に手に取ってもらうようにするわけです。
――お客様の「目的」は具体的にどのようなものなのでしょうか。
大きく分けて2つあります。
まずはブランディングで、自社の存在意義や存在価値を世の中に伝えるものです。
もう1つはプロモーションで、自社の製品やサービスの優位性やこだわりなどをアピールするものです。
本は他の広告に比べて作るのに時間も手間もかかりますが、なぜそんな面倒なことに価値を見いだす企業が多いのかというと、本は「情緒」を伝えることができるからだと思うんです。
書籍は1冊で8万字から12万字にもなります。その中で、お客様が伝えたい事柄をわかりやすく整理し、一文一文の語尾にまでこだわりながら、一編のストーリーのように仕立てていきます。そうして、お客様の言葉を丁寧に文章に編んでいくと、不思議と行間から「本気の思い」がにじみ出てくるようになるんです。熱がこもった文章は、事実だけを並べたカタログやマニュアルの類いなどよりも、はるかに深く強く、思いを伝えられます。
また、書体やコピー、紙の質感、文字の組み方など、全体のアートディレクションも重要です。ちょっとしたフォントや文字の大きさの違い、あるいは配置の違いなどによっても、読み手が受ける印象は違ってきます。
ですから、編集の仕方次第で原稿の魅力をさらに何倍にも高めることができますし、本を読むほうが直接お話を聞くよりも、より伝わる場合もあるわけです。
1997年、新卒で出版社に入社し、初めはオカルトやストリートファッションなど雑誌の企画・編集を、その後ムックや書籍の編集を担当しました。編集ページだけではなく、広告主とのタイアップ企画にも多く関わらせていただきました。キャリア二十数年というところで一度編集者を辞めてブランドコンサルタントの仕事をしていましたが、縁あって2022年に東洋経済新報社に入社しました。
現在は、ビジネスプロモーション局ブランドスタジオ・カスタム事業部で、お客様のご要望に応じた書籍、広報誌の企画・制作を行っています。
どのページに何を載せるかを整理した台割を作るところから、スタッフやライターのアサイン、原稿のチェックや修正、タイトルコピーの作成まで、雑誌制作のあらゆる事柄が業務範囲になります。
――向笠さんが現在担当されているカスタム出版とは、そもそもどういったものなのでしょうか。
まず、カスタム出版と自費出版は違います。自費出版は主に個人の方が自分で原稿を書いて、それを出版社から刊行してもらうものです。自分の思いを形にすることが重要なので、極端な話、例えば多少内輪向けのわかりづらいものであってもいいんです。
一方カスタム出版は、主に企業が特定の「目的」を持って、不特定多数の人に広く届けることを目指します。お客様の「目的」を達成するために、プロの編集者が構成、見出し、タイトル、コピー、表紙デザイン、帯コピーまでトータルでプロデュースします。お客様が伝えたい事柄を、編集の力で魅力的な本に加工することで、より多くの人に手に取ってもらうようにするわけです。
――お客様の「目的」は具体的にどのようなものなのでしょうか。
大きく分けて2つあります。
まずはブランディングで、自社の存在意義や存在価値を世の中に伝えるものです。
もう1つはプロモーションで、自社の製品やサービスの優位性やこだわりなどをアピールするものです。
本は他の広告に比べて作るのに時間も手間もかかりますが、なぜそんな面倒なことに価値を見いだす企業が多いのかというと、本は「情緒」を伝えることができるからだと思うんです。
書籍は1冊で8万字から12万字にもなります。その中で、お客様が伝えたい事柄をわかりやすく整理し、一文一文の語尾にまでこだわりながら、一編のストーリーのように仕立てていきます。そうして、お客様の言葉を丁寧に文章に編んでいくと、不思議と行間から「本気の思い」がにじみ出てくるようになるんです。熱がこもった文章は、事実だけを並べたカタログやマニュアルの類いなどよりも、はるかに深く強く、思いを伝えられます。
また、書体やコピー、紙の質感、文字の組み方など、全体のアートディレクションも重要です。ちょっとしたフォントや文字の大きさの違い、あるいは配置の違いなどによっても、読み手が受ける印象は違ってきます。
ですから、編集の仕方次第で原稿の魅力をさらに何倍にも高めることができますし、本を読むほうが直接お話を聞くよりも、より伝わる場合もあるわけです。
カスタム出版は、効果が出るように作ることができる
――カスタム出版は売れるものなのでしょうか。また、売れる本にはどういう特徴があるのでしょうか。
難しい質問ですね(笑)。カスタム出版は、もちろん売れます。
ただ、どれほど売れるかは、テーマや著者、その時のトレンドなど、さまざまな要素によります。
ヒットする確率を100%にするのは難しいですが、プロモーションを掛け合わせることでその確率を高めることはできます。また当社はビジネス書の老舗出版社として、多くの書店様からもご評価をいただいております。本の陳列の際にもそれに応じた取り扱いをしてくださる確率が高いという利点もあります。
ただ、売れる部数よりももっと大切なことは、届けたいメッセージを「届けたいターゲットに伝える」ということだと思います。
例えば、法人の広報担当者に読んでもらいたい本の場合、一般受けしそうなタイトルやコピーはあえて避けて、広報担当者に深く刺さるような、いわば「とがった」タイトルにしたりします。
反対に、できるだけ広くビジネスパーソンに伝えたい、それこそ「たくさん売りたい」というご要望もあると思います。その場合は、ページ数を減らして気軽に読めるものにし、タイトルもコピーも帯も専門書ではないカジュアルな印象のものにします。あくまでイメージですが、例えば、『30分でわかるデジタル広告の成功法則15』のような感じです。
広く売っていくのなら、価格もなるべく抑えるようにします。
いずれにしても、どういうターゲットを狙うかで本の作り方は大きく変わってきます。そしてさまざまな要素がうまくかみ合えば、結果的によく売れて版を重ねていくことになります。
――カスタム出版にはどういった効果があるのか。数字で語ることは難しいかもしれませんが、何か事例はありますか。
刊行後に売り上げがどれだけ伸びたなどと数字で語ることは難しいですが、直接効果・間接効果含め、よい結果につながったというお話はいただきます。
よくいただくのは、「問い合わせが増えた」「商談につながった」「現場の営業が、セールスに役立つと喜んでいた」などという声です。
それから、やはり書店に自社名やブランド名を冠した本が並ぶことの宣伝効果は大きいでしょう。街行く人の目に触れる効果はもちろんですが、「本を出している会社」という事実だけでも、ブランド価値の向上につながります。
また副次的な効果として、本の制作を通じて、お客様自身が自社の歴史や製品・サービスについて「再発見」されることがあります。編集者は本を制作するために、お客様に根掘り葉掘り質問をします。その過程で、お客様自身が自社の課題や強みに気づかれるのです。
お客様が普段当たり前に思っていることや、疑問に思わないことでも、編集というフィルターを介して整理し言語化することで、特異性が浮き彫りになってくるのです。
完成した本を新入社員や中途社員が読むことで、自社を誇りに思う、社内の結束が高まるといったインナーブランディングの効果もあります。
本を出すということは、デジタル時代にそぐわないように思われるかもしれません。しかし、紙だからこそ伝えられるものがあり、紙だからこそ届くターゲットがいます。
カスタム出版の効果を肌で実感されたお客様が、第2弾、第3弾、あるいは第4弾とリピートのご要望をくださるケースが非常に多いのですが、そういったお客様は、まさにその点に気づかれているのだと思います。
――最後に、カスタム書籍を検討されている方に向けて一言。
どの案件においても、お客様ご自身ではあまりお考えにならないような編集上の工夫、プラスアルファの価値をご提案することを心がけています。
構成やデザインの工夫、章タイトルのつけ方、表紙のビジュアルなど、どこかしらにほんのちょっとしたワンポイントを入れる感じです。それで読者が、「何だろう?」「どれどれ」と、いい意味の違和感を覚えて手に取ってくれたらと思っています。
これまで仕事をしてきて感じているのは、どんなお客様も熱を秘めていらっしゃるということです。その熱に触れると、どうしてもこちらも応えたくなってしまうんです。
東洋経済のカスタム事業部の部員は皆同じような熱を持っていると思います。カスタム出版を通じてお客様のビジネスの発展のお手伝いをして、日本の経済社会をより豊かなものにしようと本気で考えている。どこよりも熱心に本作りをやっている自負を持っているんじゃないでしょうか。
ご興味をお持ちくださったお客様は、ぜひ、まずは私たちに熱意をお聞かせください。私たちも誠心誠意、熱意でお応えします。
東洋経済のカスタム出版について詳しく知る
難しい質問ですね(笑)。カスタム出版は、もちろん売れます。
ただ、どれほど売れるかは、テーマや著者、その時のトレンドなど、さまざまな要素によります。
ヒットする確率を100%にするのは難しいですが、プロモーションを掛け合わせることでその確率を高めることはできます。また当社はビジネス書の老舗出版社として、多くの書店様からもご評価をいただいております。本の陳列の際にもそれに応じた取り扱いをしてくださる確率が高いという利点もあります。
ただ、売れる部数よりももっと大切なことは、届けたいメッセージを「届けたいターゲットに伝える」ということだと思います。
例えば、法人の広報担当者に読んでもらいたい本の場合、一般受けしそうなタイトルやコピーはあえて避けて、広報担当者に深く刺さるような、いわば「とがった」タイトルにしたりします。
反対に、できるだけ広くビジネスパーソンに伝えたい、それこそ「たくさん売りたい」というご要望もあると思います。その場合は、ページ数を減らして気軽に読めるものにし、タイトルもコピーも帯も専門書ではないカジュアルな印象のものにします。あくまでイメージですが、例えば、『30分でわかるデジタル広告の成功法則15』のような感じです。
広く売っていくのなら、価格もなるべく抑えるようにします。
いずれにしても、どういうターゲットを狙うかで本の作り方は大きく変わってきます。そしてさまざまな要素がうまくかみ合えば、結果的によく売れて版を重ねていくことになります。
――カスタム出版にはどういった効果があるのか。数字で語ることは難しいかもしれませんが、何か事例はありますか。
刊行後に売り上げがどれだけ伸びたなどと数字で語ることは難しいですが、直接効果・間接効果含め、よい結果につながったというお話はいただきます。
よくいただくのは、「問い合わせが増えた」「商談につながった」「現場の営業が、セールスに役立つと喜んでいた」などという声です。
それから、やはり書店に自社名やブランド名を冠した本が並ぶことの宣伝効果は大きいでしょう。街行く人の目に触れる効果はもちろんですが、「本を出している会社」という事実だけでも、ブランド価値の向上につながります。
また副次的な効果として、本の制作を通じて、お客様自身が自社の歴史や製品・サービスについて「再発見」されることがあります。編集者は本を制作するために、お客様に根掘り葉掘り質問をします。その過程で、お客様自身が自社の課題や強みに気づかれるのです。
お客様が普段当たり前に思っていることや、疑問に思わないことでも、編集というフィルターを介して整理し言語化することで、特異性が浮き彫りになってくるのです。
完成した本を新入社員や中途社員が読むことで、自社を誇りに思う、社内の結束が高まるといったインナーブランディングの効果もあります。
本を出すということは、デジタル時代にそぐわないように思われるかもしれません。しかし、紙だからこそ伝えられるものがあり、紙だからこそ届くターゲットがいます。
カスタム出版の効果を肌で実感されたお客様が、第2弾、第3弾、あるいは第4弾とリピートのご要望をくださるケースが非常に多いのですが、そういったお客様は、まさにその点に気づかれているのだと思います。
――最後に、カスタム書籍を検討されている方に向けて一言。
どの案件においても、お客様ご自身ではあまりお考えにならないような編集上の工夫、プラスアルファの価値をご提案することを心がけています。
構成やデザインの工夫、章タイトルのつけ方、表紙のビジュアルなど、どこかしらにほんのちょっとしたワンポイントを入れる感じです。それで読者が、「何だろう?」「どれどれ」と、いい意味の違和感を覚えて手に取ってくれたらと思っています。
これまで仕事をしてきて感じているのは、どんなお客様も熱を秘めていらっしゃるということです。その熱に触れると、どうしてもこちらも応えたくなってしまうんです。
東洋経済のカスタム事業部の部員は皆同じような熱を持っていると思います。カスタム出版を通じてお客様のビジネスの発展のお手伝いをして、日本の経済社会をより豊かなものにしようと本気で考えている。どこよりも熱心に本作りをやっている自負を持っているんじゃないでしょうか。
ご興味をお持ちくださったお客様は、ぜひ、まずは私たちに熱意をお聞かせください。私たちも誠心誠意、熱意でお応えします。
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