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東洋経済オンラインの「広告費が無駄にならない対策」を徹底解説!

東洋経済オンラインの「広告費が無駄にならない対策」を徹底解説!東洋経済オンラインの「広告費が無駄にならない対策」を徹底解説!
  • テクノロジー
インターネット広告において問題とされる広告詐欺の「アドフラウド」。日本での被害額は約17億円とも言われています。3億PVを誇る東洋経済オンラインではどのような対策をしているのでしょうか。 前回に引き続き、東洋経済オンラインでの取り組みについて、プログラマティック広告担当の新津尚男に話を聞きました。

実体のないアクセス数を稼ぐ「アドフラウド」

 
――ここ数年、デジタル広告業界では「アドフラウド」の問題点が挙げられるようになりました。改めて、何が問題なのでしょうか。

前回は、ビューアブル・インプレッションについてお話ししました。デジタル広告は、どれだけ見られたかという点が重要になると話しましたが、そのビューアビリティが実は実体のないものだったらどうでしょうか。人(ユーザー)ではなく、bot(自動で処理を行うコンピュータープログラム)がクリックしている場合です。広告主はユーザーに見てほしいのに、実際はbotがクリックしただけだったとしたら、それは実際のインプレッションではないですよね。または人だったとしても、純粋なユーザーではなく、アクセス数を稼ぐために人海戦術でクリックしている可能性もあります。このようにアドフラウド(広告詐欺)とは、不正に広告クリック数を水増しする詐欺行為のことをいいます。
ただ、botのすべてが悪いというわけではなく、検索エンジンのクローラー(情報を取得するための自動巡回プログラム)などは「いいbot」に当たりますね。このbotは無効なトラフィックとして、割と簡単に除外することができます。

――自社サイトの広告価値を高めるために、不正を働いている運営主がいるんですね。アドネットワークを通じてディスプレイ広告を配信する場合は、そういった不正サイトに配信されてしまうおそれがあるということですよね。

そういう不正サイトに広告を出さない、ということがいちばんです。見ているユーザーの実体がないばかりか、反社会的な不正サイトに広告が掲載されてしまえば広告主のブランド価値が損なわれます。自社ブランドを毀損しないために、いかに適切なサイトに配信をするのかが重要で、「ブランドセーフティ」という考え方が浸透してきています。そのためには、「アドベリフィケーション」を心がけることが必須ですね。
「アドベリフィケーション」とは、ビューアブル(広告がきちんと見られているか)とブランドセーフティ(ブランドを傷つけるような不適切なサイトに掲載されていないか)の点から、測定ツールを用いて広告配信をコントロールしていく仕組みのことを言います。
ただ掲載されればいい、という時代は終わりました。買い付け(ネットワーク)側も、アドフラウドには配信しない、という姿勢を持つことが求められています。


 
 

「東洋経済オンライン」の広告品質の保ち方

 
――「東洋経済オンライン」にも、悪いbotが作用することがあるのでしょうか?

ゼロとは言えないですね。ただ東洋経済の場合は、広告品質を検証する世界最大手のリサーチ会社・IAS社のツールを導入して、アドフラウドを外したビューアブルを測定しています。もちろん、完全にゼロにすることは難しいですが、ビューアブル・インプレッションのうちアドフラウド分がどれくらいなのか数字を公表しています。
プラットフォーム側がお金をかけてでも対策していかないと、公正で健全な広告配信はできません。広告を配信してくださっている広告主や、「東洋経済オンライン」を信頼して見てくださっているユーザーのためにも、サイトの品質を保つことは必要不可欠だと思っています。

――インプレッションやクリック数だけ見たり、ましてや不正をしてまで数を稼いでも意味がないと思う広告主が増えました。PV至上主義の世の中にも一区切りつきそうですね。

もちろん、とにかく安価に大量の数字を獲得したい、「質より量」という広告主もいると思います。広く浅く人の目に触れればいいという広告なら、アドネットワークかOA (オープンオークション)で広告を打つでしょう。今も運用型広告の主流ですし、広告在庫も多くて安価なので、手広く配信できます。その代わりどこに配信されるのか、広告主はコントロールできません。
本当にリーチしたいユーザーに確実に届けたい場合、そして、ブランドセーフティの観点から検討すると、PMP(プライベート・マーケット・プレイス)が安心です。掲載メディアが限定されますし、広告主は事前に出稿されるメディアを確認することができます。ただ、純広告に近い分、費用も割高なので、ハードルが高いと感じる企業もあるかもしれません。
いずれにしても「東洋経済オンライン」は、広告主が安心して広告を出稿できる質のよいプラットフォーム作りに日々努めています。


 
 

質のよい記事とフェイクニュースは同価値なのか

 
――信頼できるメディアが求められるようになった一方、フェイクニュースやメディアの記事やコンテンツを丸ごとコピーしたようなサイトにも広告がついてしまいます。

そういったサイトの存在で、デジタルメディアの価値は本来あるよりも低く見積もられてきました。具体的に言えば、専門記者を何人も置いている「東洋経済オンライン」の記事と、別メディアのコピー&ペーストだけで作られた記事の価値が同じでいいのだろうか、ということです。
電通の「2020年日本の広告費」よれば、日本のデジタル広告費は、2兆2290億円になりますが、マスコミ四媒体事業者が提供するインターネットサービスにおける広告費は803億円にすぎません。規模の割に少ないのです。これからメディアはますますデジタル化の一途をたどっていくでしょうが、単価が低いままではメディア運営がままならなくなります。そうなればユーザーにも質のいい情報が入ってこなくなる。これは世の中全体に関わる問題なのです。


――そこで、「コンテンツをまじめに作っているメディア」が報われ、ユーザーへ信頼に足る情報を届けられるよう、新たな取り組みが始まりました。詳しくは、次回コラムに続きます。