「東洋経済オンライン」上でも運用されているプログラマティック広告。媒体社、広告主の双方にとって手軽かつ安定しているため、爆発的に広まりました。しかし、不正なインプレッション(広告の表示回数)で広告主をだますアドフラウド問題や、そもそも広告主が情報を届けたいユーザーにきちんと届いているのか、といった課題も出ています。現在、その広告効果や問題点について議論が必要な段階に来ているといえるでしょう。
今回は、東洋経済オンラインでの取り組みについて、プログラマティック広告担当の新津尚男に話を聞きました。
今回は、東洋経済オンラインでの取り組みについて、プログラマティック広告担当の新津尚男に話を聞きました。
日本最大級のビジネスニュースサイトでの広告インプレッション
――3億PVを誇る「東洋経済オンライン」ですから、デジタル広告も相当な効果があるのかなと思いますが、今出ているプログラマティック広告の問題点についてはいかがでしょうか。PV数が多いサイトだとしても、本当にディスプレイ広告って見られているのでしょうか。
まずは、プログラマティック広告について、詳しくはこちらの記事をご参照ください。インプレッションについては、広告業界でもこの5~6年で検証され始めました。広告主は見られるために出稿しているのに、実際はサイトの下のほうに表示されることもありますよね。「ユーザーが本当にスクロールして見ているのか」と気にする広告主が増えて来たのです。
「ビューアブル・インプレッション」という言葉は知っていますか? 実際にユーザーが閲覧した広告の表示回数のことなのですが、欧米ではMRC(Media Rating Council)やIAB(Interactive Advertising Bureau)といったメディアの監査団体がガイドラインを定めています。「ビューアブル・インプレッション」とは、「バナー面積の50%以上がスクリーンに1秒以上表示された広告インプレッション」のこと。東洋経済でも、そのガイドラインに沿って運用しています。
最近は、その「ビューアブル・インプレッション」に重きを置く広告主が増えていますね。外資系企業など、グローバルカンパニーでは当たり前の価値観になっていて、今後は日本企業もそれに続くことになるでしょう。
――どんな広告も「ビューアブル・インプレッション」に重きを置いたほうが、広告効果があるような気がしますが……。
それは内容によると思いますね。とにかく広く浅く配信するのが目的の広告もあります。テレビの視聴率と同じで、ビューアブル100%の枠は存在しないのですよね。20%でも60%でも、クリックできる状況には変わりない。これまでは、CTR(クリック率)獲得を目的とする広告主が多かった。それが最近では、先ほどの話のように「きちんと見られること」に重きを置き、ブランディングの1つとする流れになって来ているのです。
「CPM」から「vCPM」の時代へ
――つまり、ブランドが大切な企業にとっては、きちんとした媒体で、しっかりと見てもらうことが重要ということですね。
そうですね。正直、これまでデジタル広告に対してよくないイメージを持っていた広告主もいたと思います。でも実際に使ってみると、CTRやPV数など効果がはっきりとわかるうえ、クリエーティブを発揮したバナーも作れるなど、ブランディング上でも有効だとわかって来た。
だからこそ、きちんと見られるものにお金を払いたいという広告主が増えて来ているのです。これまでの「CPM(コスト・パー・ミルウェブ広告=1000回ごとの広告費)」から「vCPM(ビューアブル・コスト・パー・ミル=きちんと見られたウェブ広告1000回ごとの広告費)」へと流れが変わって来ています。
――「東洋経済オンライン」で言うと、やはりいちばん上の枠がもっとも〝ビューアブル〟なんでしょうか。
それがそうとも言えません。いちばん上の枠は目立つけれど、実は記事中のほうがユーザーの滞在時間が長かったりする。ユーザーが閲覧している端末がPCなのかスマートフォンなのかによっても違ってくるでしょうね。
ちなみに「東洋経済オンライン」の場合、PCとスマホの両デバイスでの掲出をセット売りで運用しています。
そうですね。正直、これまでデジタル広告に対してよくないイメージを持っていた広告主もいたと思います。でも実際に使ってみると、CTRやPV数など効果がはっきりとわかるうえ、クリエーティブを発揮したバナーも作れるなど、ブランディング上でも有効だとわかって来た。
だからこそ、きちんと見られるものにお金を払いたいという広告主が増えて来ているのです。これまでの「CPM(コスト・パー・ミルウェブ広告=1000回ごとの広告費)」から「vCPM(ビューアブル・コスト・パー・ミル=きちんと見られたウェブ広告1000回ごとの広告費)」へと流れが変わって来ています。
――「東洋経済オンライン」で言うと、やはりいちばん上の枠がもっとも〝ビューアブル〟なんでしょうか。
それがそうとも言えません。いちばん上の枠は目立つけれど、実は記事中のほうがユーザーの滞在時間が長かったりする。ユーザーが閲覧している端末がPCなのかスマートフォンなのかによっても違ってくるでしょうね。
ちなみに「東洋経済オンライン」の場合、PCとスマホの両デバイスでの掲出をセット売りで運用しています。
「東洋経済オンライン」ならではのビューアブルな広告
――「東洋経済オンライン」では、どのような対策をして広告メニューを用意していますか。
「ビューアブル・レクタングル」というメニューがあります(https://biz.toyokeizai.net/ad/digital/detail/contents_type=10)。大きな特長は、「ビューアブル100%」を保証している点です。IAS(Integral Ad Science)社のビューアビリティ計測を取り入れ、ユーザーが確実に見た回数のみを計上して予算を消化しています。
先ほど、「ビューアブル100%の枠は存在しない」と言いましたが、サイトを実際に閲覧している人を検知して広告を配信するため、100%を実現させることができる。これはほかにはない広告メニューでしょうね。
――「ビューアブル100%」はすごい! そうしたら、確実に見てもらえる広告の掲載が可能ですね。
ただ、実は単純に数字上だけ100%でも意味がなくて、そこには「不正なインプレッション」の数字が含まれている場合があるのです。最近、この問題点が大きく取り沙汰されるようになり、プログラマティック広告業界で話題となっています。各社が対応に追われていますが、このメニューでは、「不正なインプレッションの減少」も保証しています。
――プログラマティック広告の根幹を揺るがす「不正なインプレッション」とは……。詳しくは、次回コラムに続きます。