2019年4月末にサンフランシスコで開催された「PROGRAMMATIC I/O」では、デジタル広告をめぐる諸問題についてさまざな角度から議論が交わされました。今回はデジタル広告でのデータ活用についてどのような議論が交わされたかについてお伝えします。
ご想像どおり米国でのオーディエンスデータの活用は活発です。前年比で66%増という数字を挙げているスピーカーもいました。しかしながら問題はデータの質です。ノイズ(不要な情報)が多く、販売されているデータのセグメントの数は減っているともいわれています。
ファーストパーティーデータは、質はよいが量が少ない。一方でサードパーティーデータは精度が低いものもある。そこで注目が集まっているのがセカンドパーティーデータ。その利点は透明性と質です。ブランドとパブリッシャーのデータ連携が増えてきていると報告がありました。
またデータの利用について、ターゲティングやパーソナライゼーション、クリエーティブテスト、パフォーマンス測定といった一般的な利用方法以上に重要なのは、データ分析による深いレベルでの気づきによるマーケティングのエコシステムの構築であるという発言があり、大いに共感しました。ユーザーをターゲティングするのではなく理解することがポイントです。
時期的にアップルのITP(Intelligent Tracking Prevention)のアップデートについての言及もいくつかありましたが、米国でのSafariのシェアが比較的小さいためか、思っていたよりは大きな騒ぎにはなっていませんでした。提示された解決策もSafariを除いた施策を勧めるもので極めて現実的なものでした。
とはいえ、カリフォルニア州では、GDPR(EU一般データ保護規則)と同様の効力を持つともいわれるCCPA(カリフォルニア消費者プライバシー法)が2020年1月から施行されるため、今後、プラットフォーマーを含む各企業で大きな課題となってくることは間違いありません。
米国らしく、規制と活用のバランスを取りながら、データの活用は拡大していくでしょう。
今回でPROGRAMMATIC I/O イベントレポートは終了いたします。