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PMP(Private Market Place)の登場

PMP(Private Market Place)の登場PMP(Private Market Place)の登場
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 東洋経済新報社の新津です。前回はRTB(Real-Time Bidding)が登場した経緯を書きました。今回はRTBから発展したPMP(Private Market Place)について書きます。PMPは、純広告に近い配信形式をプログラマティック広告の仕組みで実現するという目的で生まれたものです。本日はPMPが誕生した背景、RTBとの比較、最後に課題について書きます。
 

PMPが誕生した背景

 
 プログラマティック広告が普及するにつれ、純広告に相当する商品をプログラマティック広告で配信したいという要望が2011年ごろ米国で出るようになりました。純広告はインターネット登場の頃からある商品で、媒体社が代理店や広告主からクリエーティブをもらい、サイトに入稿、掲載終了後レポートをまとめ、代理店に提出していました。メリットは事前に在庫を確保し優先的に配信されるところです。一方、途中経過が見えない、効果がすぐにわからない、ターゲティングができないなどのデメリットがありました。

 もう1つはRTBのように配信する場所を指定したいという要望です。RTBは媒体を超えて横断的に広告を配信できる一方で、配信したくないところに出てしまう場合があり、ブランドセーフティの観点で出稿をためらう広告主もいました。こうした点をプログラマティックを使えばカバーできるのではないかという考えが出発点の1つだったようです。

 

RTBと比較したPMPの特徴を解説

下記の表を使いながらPMPの特徴を解説します。


(PMPとRTB(厳密にはOpenRTB)の比較表)

 PMPはRTBの仕組みを使いながら、広告主が配信する媒体社を選ぶことができ、媒体社は広告主を選ぶことができます。つまり広告主と媒体社の双方が同意して初めて配信が可能になります。同意する条件は、CPM、クリエーティブ、予算などです。RTBがターゲットとオークションで配信が決められるのとは対称的です。
RTBは自動でデータを使って配信先を選べる一方で、広告を出した先でのコントロールが利かない点と、広告主や代理店の意図しないサイトに出る可能性がある点に欠点がありました。しかしPMPなら、RTBの機能を使いながら配信先を選ぶことができるのです。

 PMPの特徴はまとめると以下になります。

•    取引の透明性:媒体社と広告主の双方が、配信する広告枠の種類、CPM、クリエーティブについて事前に確認し、合意したうえで配信するので、透明性が高い取引が可能になる
•    プログラマティック広告機能の活用:広告主は自社の広告商材にあったサイトを選び、そのサイトに対し効果的なセグメントを使って広告配信することができる
•    配信の効率化:プログラマティック広告の仕組みを利用することで配信後の調整ができ、途中経過を見ながら効率的に配信することができる

 

媒体社から見たPMPの課題

 
 PMPは理想的な取引形態ですが、日本では思ったほど取引が進んでいません。PMPにはいくつかの課題があります。

・1つのディール(取引)の期間が短い。米国やオーストラリアはPMPを年単位で行っている
・合意とディール作成に時間がかかる。事前に掲載可否を取るため、メールやメッセンジャーなどでのやり取りが発生し作業に時間がかかる
・カバレッジが低い。ディールを結んでも配信後のレポートを見ると、リクエストに対する表示が少なく、売り上げが見込み通りにならないことが多い
・日本のネット広告はブランド施策よりもコンバージョン重視の傾向があり、PMPの取引自体がなかなか広がらない
・配信するにはSSPのプラットフォームを使うが、使っているプラットフォームが媒体社によって異なる

上記のような課題があるものの、最近はビューアブル向上、ブランドセーフティーなど広告に対する品質強化の動きがあり、こうした動きが広がることでPMPは広がりを見せる可能性は大いにあります。

 PMPは、媒体社にとって取引を広げたい領域であり、こうした問題が解決してPMPの取引が日本で広がることを願っています。
次回は、現在のプログラマティック広告配信で主流になっているヘッダービディングについて書きます。