「正義」ではなく「正確」を目指していく|東洋経済オンライン武政編集長インタビュー(前編)

「正義」ではなく「正確」を目指していく|東洋経済オンライン武政編集長インタビュー(前編)

コラム編集部

ウェブメディアの競争が激化する中、私たちが目指しているものは何か

 月間PVでビジネス誌系サイトナンバーワンの東洋経済オンライン。「独自取材した経済関連記事」を中心としたニュースプラットフォームとして、20~40代のビジネスパーソンを中心に企業分析、最新テクノロジー、キャリア・教育など幅広いジャンルの記事・コラムを提供している。その強みはどこにあるのか。そして、今後目指しているものは何か。2018年12月から編集長として東洋経済オンラインの指揮を執る武政秀明に話を聞いた。

いま改めて問われるメディアの信頼性

―― 東洋経済オンラインは、2018年12月のPVが2億を超え、新編集長として好調なスタートを切りました。現在のウェブメディアの状況をどのように見ていますか。

武政 ウェブメディア間の競争は今、非常に激しくなっている状況です。ウェブメディアには新聞、TV局、出版社のほか、新興メディアなどさまざまなメディアが進出しており、群雄割拠の様相を呈しています。そうした中、いま改めて問われているのが「メディアの信頼性」です。

 その意味で、私は質の高いコンテンツをしっかり提供していくことが大事だと考えています。東洋経済新報社は2019年で創業124年目を迎えますが、創業者の町田忠治氏は『東洋経済』創刊の目的を「健全なる経済社会の発展」に貢献することであるとしています。東洋経済オンライン編集部も、この理念を下に、経済の疑問に対し、公平で明快な答えを探っていく。つまり、われわれが答えを出すのではなく、読者と一緒に考えて、答えを探っていきたい。そして、公平性を担保して、明快でわかりやすく、客観的で中立的な立場で報道しなければならないと思っています。

―― メディアの信頼性が一段と問われるようになったということですね。

武政 メディアの信頼性を重視するうえで、私は正しい報道をしなければならないと思っています。しかし、その正しさが正義になってはいけないとも思っています。ときに正義は正しいように見えて、ある立場に立っていることがあり、もしかしたら特定の主義主張に沿った偏ったものかもしれません。だからこそ、「正義」ではなく「正確」を目指さなければならないのです。世の中が混迷を極めているときだからこそ、信頼されるメディアを目指し、質が高く、公平で正確な情報を誠実に提供していきたいと考えています。

 

読者が共感するような、よりリアルな記事を提供したい

―― 月間で2億PVの達成は、そうした方針が受け入れられているともいえますね。実際、どのような記事が読者に読まれるのでしょうか。

武政 よく読まれる記事は5つの要素をしっかり詰めています。それが「テーマ」「切り口」「内容」「タイミング」「タイトル」です。つまり、読者にとって有益なテーマを、独自の切り口で、説得力のある内容にまとめ、よいタイミングで、わかりやすく興味を喚起するタイトルで提供することが重要なのです。

 ウェブメディアにとってPV数は大きな要素の1つですが、記事コンテンツ一つひとつの積み上げがPV数の総和になり、メディアのカラーや性格、印象、ブランド価値をつくっていきます。だからこそ、記事コンテンツ一つひとつを磨き上げていかなければならないと思っています。

――具体的には。

武政 記事コンテンツの作成は3つの要素に分解できます。それが「書き手」「編集者」「媒体のパワー」です。私はこの3つの力を掛け合わせる努力をすることで、総合的な力を高めていきたいと考えています。

――コンテンツ面で新たな取り組みとして考えていることはありますか。

武政 もっともっとリアルにこだわっていきたい。記事は「データ」「ファクト」「ロジック」「エピソード」「ストーリー」を基に作成されます。「データ」と「ファクト」だけならインフォメーションだけになり、そこに「ロジック」だけを加えても論文になってしまう。記事にするにはさらに「ストーリー」や「エピソード」を入れて、意味づけをすることが必要なのです。

 そうした記事にするには、よりリアルを追求していかなければなりません。読者もよりリアルな記事を求める傾向が強まっていると感じています。概略的な記事よりも、どこにも書かれていない独自のオリジナルな情報で、より読者に身近で疑似体験ができるような、共感を呼ぶ記事が読まれるようになっています。

 ですから、世の中を描ききるためにも、ビジネスパーソンにとってより身近なテーマでもある衣食住に経済の視点から光を当てるようなニュースも拡充していきます。これまで世の中で潜在的に認識されていたものを記事によって顕在化することで「健全なる経済社会の発展」に貢献していきたいと考えています。

 

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