タイトルであおっていいのか

タイトルであおっていいのか

新井泰嗣

 私はかつて一般週刊誌の編集部に在籍していました。

 その後、ウェブメディアに携わるようになって思ったことは、ビジネスモデル、というか「読ませるモデル」が同じだということです。

 週刊誌は、新聞広告や交通広告で各記事のタイトルを読者に見せて、ものすごいスクープが書いてあるかのように読者をあおります。人間の「欲」を上手にくすぐります。そして、コンビニや駅売店で買って読ませるというものです。

 一方、ウェブメディアもやはりタイトルであおってクリックさせて読ませます。もちろん、その場で完結するかどうか、お金を出すか出さないか、パッケージ(雑誌)か記事単体か、みたいな違いはいろいろあるのですが、「こんなにスゴいこと書いてあるんだよ。読まなきゃ損損!」みたいなノリで読者にアピールする方向性は近いと思っています。

 週刊誌時代に先輩から言われていたのは、「あおってもいい。ただし、読者をがっかりさせるな」ということです。あおったタイトルと実際の記事内容との乖離があると、雑誌のファンが減る、ブランド毀損になるからそれだけは絶対にやめろと。「あおって買わせて、読者を納得させるのがプロの仕事だ」と言われたような気もします。記憶の美化だったらすみません。

 それでひるがえって、私たちがやることは、「あおってクリックしてもらって、読者を納得させる記事広告を作ること」です。ちょっと「あおる」って言葉を連発すると誤解が生じそうなので、「感情に訴える」ぐらいでご理解いただけるとありがたいです。「感情に訴えてクリックしてもらう」ですね。

マイナスアプローチでクリック率が上がる?

 わかりやすい例をお話しすると、私たちが使う感情に訴えるテクニックとして「マイナスアプローチ」というものがあります(業界用語でも何でもなく、数人で話している内輪の言葉です)。

 例えば、業務改善が期待できるBIツールAの広告があったとしましょう。このときに、
「Aの導入で20%業務改善の理由」

「BIツール導入に失敗する人の特徴」
では、どちらのクリック率が高くなりそうでしょうか? そうです、やはり後者のマイナスアプローチのほうがクリック率が上がるんです。

 これは、一般のニュースにマイナスアプローチのものが多いために、マイナスアプローチにすればより編集記事っぽくなる、ネイティブアドっぽくなるということもあるでしょう。あるいは、人は不幸なニュースを読みたがる特性がある、と考えられるかもしれません。

 ただ、これも一長一短で、やり過ぎると「失敗する」「悲惨な」「危険な落とし穴」などのマイナスの言葉が画面を占有するような、荒廃した世界になり、あまり気分のいいものではありません。そこはバランスです。

 クリック率やPVなどの数字ばかりを追いかけると、私たちの価値観や世界観が少しずつ変わっていきそうなので、こういう感覚的なところは敏感でないといけません。

 話を「プロの仕事」に戻します。

 ネットメディアを見渡すとやはり「プロの仕事」ではないものも多いと感じてしまいます。内容の伴わない記事、有名人の名前を勝手に使っている広告というものだけでなく、アドフラウドやアドベリなどのネット特有の問題も発生しています。

 プロの仕事もできていないうえに、ネット広告の価値を著しく下げるような鈍感なやり方はどう考えても支持できません。

 なので、ひとまずの目標は、広告コンテンツでも、感情に訴えながら、よりよい世界の実現のためにアシストするということです。週刊誌時代の先輩からは、キレイごとだと一蹴されそうですが、これまで教わってきたノウハウと根性で私たちなりの「プロの仕事」を追求していきたいと考えています。

 

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