東洋経済 以下(T)
DCL導入の理由や目的をお教えください。
早稲田大学 以下(W)
以前からDCLの存在は紀伊國屋書店さんからも伺っていましたが、『週刊東洋経済』という主要な雑誌が収録されていることが大きかったです。日本語の雑誌は電子ジャーナルで記事が読めるものは非常に限られていますので、そうしたコンテンツが増える、しかも、比較的利用が多い雑誌群が加わったということで、期待をしています。
それ以外にも、多くの刊行物に収録される企業情報をほぼ網羅的にカバーしているということも導入の理由となりました。
学生が就職活動をする際に、有益な企業情報が得られるDBとして推薦できます。
T: DCLをどのようにお使いになっていますか。
W: 今年の4月からのスタートでまだ4カ月と日が浅く、アンケートや講習会など直接利用者の声を聞く機会がまだないのですが、利用動向をみますと徐々に増えてきています。今後は特に『会社四季報』関連媒体に収録される企業情報の利用が増えてくるのではないかと予想しています。
T: 学外アクセスの形で、自宅など館外から利用する環境は整っているのですか。
W: はい、そのような形になります。
T: 特に案内しなくても図書館のHPをみれば、学外アクセスの方法が掲出されていて、手続きに苦労することなく普通に使えるんですね?
W: そうです。
T: スマートフォンでの利用方法は案内されましたか。学生はスマートフォンをよく使いますが、どのような場所から利用されているのでしょうか。
W: 実際の現場をまだ目撃したことはありませんが、別のDBサービスでは利用者が大勢います。本学のOPACで資料の検索をされる際に、スマホや携帯電話の画面を示しながらレファレンスに相談に来ます。
T: セキュリティの問題で制限していることはなく、普通にモバイルで使われているのですね。
W: はい。
T: 電子ジャーナルやDB系サービスについて、学生向けの導入や利用案内はどうされていますか。
W: 4月の春入学の時、全般的な講習会を行うことが多いです。初年次対象の場合、学部単位です。その際には、個別の分野に特化しないように意識していますので、具体的なDBについてまでは踏み込みません。
要請があればゼミ単位で行うこともあります。その時は、経済系学部の場合には必ずDCLは紹介しています。
それ以外の機会としては、就職活動の時期になると、事前の下調べとして利用できるようDBの講習会をすることはあります。
T: 今年も就活シーズンが近づいていますが、キャリアセンターさんはそろそろレクチャーを開始するのでは。
W: キャリアセンター主導でやるものと、図書館でやるものとは分かれてしまうところがあります。目下のところ、それぞれやっていくという形です。この10月には、所沢と早稲田キャンパスで、東洋経済さんはじめ各社にレクチャーをお願いする予定です。
T: 教員の皆様へのご案内はいかがでしょう。
W: 教員への周知としては、今回のDCLの新規導入について図書館報『ふみくら』に掲載します。年2回、2500部発行しています。いろいろな情報を掲載するようにしていますが、この春から新規導入したDBのうち、いちばん幅広く、多くの方が使えるものを紹介しようということで、DCLを挙げさせていただきました。配布対象は教職員ですが、先生がご覧になることがひとつのきっかけとなって、学生にも伝わればよいと考えています。
T: 学生、教職員の皆様のご感想、ご意見があるようでしたらお教えください。
W: 一般的な話になってしまいますが、本文が見られるDBは、そこまでどうやって辿り着くか、が問題になりがちです。いわゆるリンクリゾルバでは辿り着けないとか。本学ではOPAC上でリンクを張っていますが、DBの収録内容を細かく調べて全て登録することはできません。となると、せっかく本文が見られるのに、学生が普段使うようなOPACとかCiNiiから辿り着けない。そこをもうちょっとうまくできるとありがたいです。
もう1点は、データについてどう見ればいいのかを学生にどう伝えるかです。たとえば、他社の例ですが、就職関連で、有価証券報告書というのが見られるとしても、ほしいデータがどこにあるのか、どうやったら見られるのか、ということですね。有価証券報告書を頭から全部見ていっても、限られた時間の中で効率的に企業研究が出来る訳ではない。要点とかどこを見ればいいのかは、たぶんベンダーさんのほうが分かってらっしゃると思います。そういう話が学生さんに伝わればいいと思いますし、潜在的なニーズだと思っています。
特に、東洋経済さんは独自データが多いので、その差異が普通の学生に伝わっていないところがあるでしょう。東洋経済のDBはあるけれど、それをどう使いこなすかが今後の課題であり、講習会のニーズはあるでしょうね。
T: 他社のサービスと比較した感想をおきかせください。
W: あくまで私見ですが、やや学術分野に踏み込んでいる印象があります。企業研究にしても多角的な情報が得られますし、『一橋ビジネスレビュー』や『Think!』などはアカデミックユースにも有益です。一般誌のカテゴリーに入る雑誌も含むDBとは、そのあたりに違いがあると思います。
T: 従量制ではなく、固定料金制を取っていますがいかがでしょう。このたび同時アクセス制限も外しました。
W: 契約担当としては、同時アクセスを無制限にしていただけるのは、たいへんありがたいことです。だいたい10などの単位の場合が多いです。料金体系については、いくらでも使えたとしても実質的な従量制ですと、管理や予算に課題が出る可能性があります。固定料金で同時アクセス無制限というのは、海外の出版社では当たり前なのですが、国内ではまだそういう環境で提供していただけるところは少ないので、その点は、すごくありがたいことだと思っています。
T: 本日はたいへんありがとうございました。
【取材日】2012年8月24日