経営視点でデータ利活用のITコンサルティングからシステム開発、運用まで一貫して手がけるグランバレイ様は、企業認知度を上げるためのマーケティング施策として「書籍」にチャレンジされました。2冊発刊して効果を実感されたため、2025年7月には3冊目を上梓。なぜITコンサルティング企業が書籍を選択し続けるのか。どのような効果があったのか。執筆者である営業企画部 BI戦略教導グループ マネージャーの鍜治川 修(かじかわ おさむ)様、自社のマーケティングを担当する社長室 マネージャーの山内 光宏(やまうち みつひろ)様にお話を伺いました。

左:山内 光宏 様 右:鍜治川 修 様

左:山内 光宏 様 右:鍜治川 修 様
――貴社の事業内容と経営課題を教えてください。
鍜治川 グランバレイはデータ利活用に特化したITコンサルティング企業です。主なお客様は、SAPのERP(統合業務システム)を導入されている大手企業様となります。近年、多くの企業では多種多様なデータを保有して経営に活用しておりますが、例えばKPI(重要業績評価指標)のひとつである「売上高」というデータ1つを取っても、販売管理上の売り上げ、財務会計上の売り上げ、管理会計上の売り上げなど、基準や計上方法がバラバラな状態で複数部門が管理されており、KPIの定義が全社で整理統合されていないケースが散見されます。これではデータを活用して迅速な経営判断を下すことが難しくなってしまいます。そこで私たちは、「データ×経営」「データドリブン経営」を目的に、データ利活用のITコンサルティングを通じて、情報基盤の設計から開発、保守までをワンストップで提供しています。
山内 弊社における経営課題の1つとしてブランド力の構築があります。弊社では、大手のコンサルティングファーム様やSIer様からお客様をご紹介いただくケースが8割ほどになっております。これは大手のコンサルティングファーム様やSIer様はERPの導入を得意とされている半面、データ利活用はまた別の領域であり、その領域に強いコンサルティング会社として弊社をご指名いただくことが多いためとなっています。おかげさまで業界内での認知度は高いのですが、エンドユーザー様への認知度はそこまで高くなく、直接の案件としては全体の2割程度にとどまっております。エンドユーザー様への需要を自社で掘り起こして獲得するためにも、グランバレイの名前や提供価値について広く伝える必要がありました。
鍜治川 もう1つの課題として、弊社のビジネスモデル上、技術やナレッジの多くがコンサルタント個人の頭の中に蓄積されている点が挙げられます。これらの知見を集約し、整理・可視化して後世に残すことが必要だと感じていました。そのため、これらの課題を解決するための具体的な施策を模索しておりました。
――書籍というメディアを選んだのはなぜでしょうか。
山内 これまで様々なメディアでの発信を試しておりました。例えばWebメディアに記事を出稿し、私たちのノウハウを発信することにより認知度の向上に努めたこともあります。しかし、Webメディアは情報の流通が速いため、お客様に深く読んでいただくのが難しく、内容が軽く見えてしまうという課題が浮き彫りになりました。また、認知度向上の施策としてテレビCMにも挑戦しましたが、一時的な話題性やブランド認知の向上には効果がありますが、自社サービスの本質や強みを伝えるには長期的な継続が必要であり、費用対効果の面で課題が残りました。
こうした経験を踏まえ、「ブランド認知の向上」と「知見の集約・可視化」という本質的な目的を改めて見直した結果、たどり着いたのが「書籍」でした。書籍はお客様からの信頼度が高く、ナレッジを体系的にまとめて、多くの方に共有する手段として非常に適しています。さらに、書籍はファクトチェックが徹底されているため、自社の知見に対しての信頼性にお墨付きを得られる点も魅力でした。
また、コスト面でもテレビCMなどと比べて安価であり、一度出版すれば長期間にわたり活用できる点もメリットを感じました。これらの理由から、2020年夏にマーケティング施策の1つとして書籍を発刊する方針が決まりました。
――出版社の中でも東洋経済を選んだ理由は何だったのでしょう?
山内 まず、ビジネス分野に強みを持つ出版社5社に対して、サービス内容と見積もりを依頼し、その内容を比較しました。その結果、コスト面とブランド力の両面から「東洋経済新報社」様を選定しました。特に決め手になったのは、読者層です。弊社が想定していたターゲットは、IT担当者ではなく意思決定層であり、『週刊東洋経済』を発行している東洋経済新報社様であれば、書籍を通じて経営者層に私たちのメッセージが届けられると考えました。
――執筆はコンサルタントの鍜治川さんが担当しました。東洋経済からはどのようなサポートがあったでしょうか。
鍜治川 最初に原案のプロットを作成した結果、とても1冊では収まりきらないボリュームになることが判明したため、2冊に分けて出すよう提案をいただきました。また、プロジェクトを抱えながらの執筆作業となったため、進行も遅れがちになり、発刊時期も延ばしてもらうなど、こちらの都合に合わせて柔軟に対応してくれたのはありがたかったです。
また、担当編集の方がとても勉強熱心であることにも驚きました。書籍の内容がかなりITの専門的な内容になってくるため、最初は正直ついてくるのが精いっぱいだったかと思いますが、数カ月でキャッチアップして、最後の校正プロセスでは私の書き間違いを指摘するレベルになっていただいたほどで、相当に勉強されたのではないでしょうか。
こちらの専門性にキャッチアップする一方で、IT専門知識がない経営層に届くように、「この表現は専門的すぎます」と的確に指摘してくれたことも心強かったですね。自社サイトにコンテンツを掲載する場合は、第三者のチェックは入りませんが、編集者の客観的な目が入ることは企業出版の大きなメリットでした。
――1冊目『データドリブン経営の不都合な真実』は2023年1月、2冊目『データドリブン経営実践バイブル: DXグランドデザインの推進方法論』は2024年2月の発刊でした。書籍はどのように活用されましたか。
鍜治川 実際、書籍を読んで連絡をくださり、案件化したお客様もいらっしゃいました。これまで直接ご相談いただく案件は多くありませんでしたが、最近は直接案件も増加傾向にあり、書籍の販促効果が出ていると思います。
また、社内ナレッジの整理にも役立っています。弊社のコンサルタントやエンジニア全員に配布しており、研修資料として、また、日々の業務で迷いが生じて基本に立ち返りたいときのバイブルとして活用できております。
山内 マーケティング面では、書籍は販促品として活用しており、イベントやセミナーのプレゼントとしての利用や、営業担当者から営業活動の一環として既存のお客様や新規案件のお客様にお渡ししております。
データ利活用に課題をお持ちのお客様から、書籍の目次をきっかけに自社の課題をお話ししていただくこともあります。「書籍を発行している会社」であることが、お客様に対して心理的な信頼を与えているようです。書籍は段ボールに入れて営業担当がいつでも持ち出せるようにしておりますが、1箱が2カ月でなくなってしまうほどの活用状況です。営業担当者からも、「書籍がドアオープナーとして効果を発揮している」という声も上がっております。
また、採用活動においても書籍の効果がじわじわと表れています。ご存じのようにIT業界は人手不足で、人材の獲得競争になっています。採用の面で弊社のような中小企業は認知度の点で不利ですが、書籍を出版したことで、「ITとデータで社会に貢献している企業」というイメージが広がり、コンサルタント志望の応募者が増えました。さらに、内定者には書籍をお渡しして、弊社の仕事内容のイメージをつかんでもらうのにも役立っています。
――3冊目発刊の経緯を教えてください。
鍜治川 最初の2冊の出版後、お客様から「より具体的な方法論を教えてほしい」というご要望をいただきました。そうした声が上がるのも経営層の問題意識を醸成できたからだとの理解です。そのため、2025年7月発売の3冊目『次世代DXの設計図:生成AIで切り拓く経営革新』は、SAP製品と生成AIのエキスパートを執筆陣に加えて、弊社のDX開発方法論を最新の状況にアップデートした内容になっています。
実は執筆陣の一人である塩見鉄平さんは、かねて病を抱えながら業務および本書籍の執筆を行っていたのですが、執筆後に急逝されました。とても残念ですが、ご両親にとってもこの書籍はご子息が仕事をやりきった証の1つになったのではないかと感じております。生涯、物として残る書籍の良さを、思わぬところで感じています。
――最後に企業出版を検討中の方にメッセージをお願いします。
山内 書籍は息の長いメディアであり、その効果はボディーブローのようにじわじわと広がっていきます。最近では、社内でも「私も執筆に挑戦したい」という声が上がるようになり、社内の活性化にもつながり始めています。中長期的な視点で、会社の成長を目指す企業にとって、書籍出版は有力な選択肢の1つだと考えています。
【グランバレイについて】
グランバレイは、特定のIT製品やベンダーに依存しない中立的な立ち位置で、顧客に寄り添ったコンサルティングサービスを提供する「データ×経営のスペシャリスト」集団。AIや機械学習、統計解析など、最新のテクノロジーを駆使したデータ分析によって、多数の企業のデータ駆動型経営の実現を支援。2005年の創業以来、SAP導入企業を中心に国内外各産業の有力企業の経営管理システム構築に携わる。
URL: www.granvalley.co.jp
鍜治川 グランバレイはデータ利活用に特化したITコンサルティング企業です。主なお客様は、SAPのERP(統合業務システム)を導入されている大手企業様となります。近年、多くの企業では多種多様なデータを保有して経営に活用しておりますが、例えばKPI(重要業績評価指標)のひとつである「売上高」というデータ1つを取っても、販売管理上の売り上げ、財務会計上の売り上げ、管理会計上の売り上げなど、基準や計上方法がバラバラな状態で複数部門が管理されており、KPIの定義が全社で整理統合されていないケースが散見されます。これではデータを活用して迅速な経営判断を下すことが難しくなってしまいます。そこで私たちは、「データ×経営」「データドリブン経営」を目的に、データ利活用のITコンサルティングを通じて、情報基盤の設計から開発、保守までをワンストップで提供しています。
山内 弊社における経営課題の1つとしてブランド力の構築があります。弊社では、大手のコンサルティングファーム様やSIer様からお客様をご紹介いただくケースが8割ほどになっております。これは大手のコンサルティングファーム様やSIer様はERPの導入を得意とされている半面、データ利活用はまた別の領域であり、その領域に強いコンサルティング会社として弊社をご指名いただくことが多いためとなっています。おかげさまで業界内での認知度は高いのですが、エンドユーザー様への認知度はそこまで高くなく、直接の案件としては全体の2割程度にとどまっております。エンドユーザー様への需要を自社で掘り起こして獲得するためにも、グランバレイの名前や提供価値について広く伝える必要がありました。
鍜治川 もう1つの課題として、弊社のビジネスモデル上、技術やナレッジの多くがコンサルタント個人の頭の中に蓄積されている点が挙げられます。これらの知見を集約し、整理・可視化して後世に残すことが必要だと感じていました。そのため、これらの課題を解決するための具体的な施策を模索しておりました。
――書籍というメディアを選んだのはなぜでしょうか。
山内 これまで様々なメディアでの発信を試しておりました。例えばWebメディアに記事を出稿し、私たちのノウハウを発信することにより認知度の向上に努めたこともあります。しかし、Webメディアは情報の流通が速いため、お客様に深く読んでいただくのが難しく、内容が軽く見えてしまうという課題が浮き彫りになりました。また、認知度向上の施策としてテレビCMにも挑戦しましたが、一時的な話題性やブランド認知の向上には効果がありますが、自社サービスの本質や強みを伝えるには長期的な継続が必要であり、費用対効果の面で課題が残りました。
こうした経験を踏まえ、「ブランド認知の向上」と「知見の集約・可視化」という本質的な目的を改めて見直した結果、たどり着いたのが「書籍」でした。書籍はお客様からの信頼度が高く、ナレッジを体系的にまとめて、多くの方に共有する手段として非常に適しています。さらに、書籍はファクトチェックが徹底されているため、自社の知見に対しての信頼性にお墨付きを得られる点も魅力でした。
また、コスト面でもテレビCMなどと比べて安価であり、一度出版すれば長期間にわたり活用できる点もメリットを感じました。これらの理由から、2020年夏にマーケティング施策の1つとして書籍を発刊する方針が決まりました。
――出版社の中でも東洋経済を選んだ理由は何だったのでしょう?
山内 まず、ビジネス分野に強みを持つ出版社5社に対して、サービス内容と見積もりを依頼し、その内容を比較しました。その結果、コスト面とブランド力の両面から「東洋経済新報社」様を選定しました。特に決め手になったのは、読者層です。弊社が想定していたターゲットは、IT担当者ではなく意思決定層であり、『週刊東洋経済』を発行している東洋経済新報社様であれば、書籍を通じて経営者層に私たちのメッセージが届けられると考えました。
――執筆はコンサルタントの鍜治川さんが担当しました。東洋経済からはどのようなサポートがあったでしょうか。
鍜治川 最初に原案のプロットを作成した結果、とても1冊では収まりきらないボリュームになることが判明したため、2冊に分けて出すよう提案をいただきました。また、プロジェクトを抱えながらの執筆作業となったため、進行も遅れがちになり、発刊時期も延ばしてもらうなど、こちらの都合に合わせて柔軟に対応してくれたのはありがたかったです。
また、担当編集の方がとても勉強熱心であることにも驚きました。書籍の内容がかなりITの専門的な内容になってくるため、最初は正直ついてくるのが精いっぱいだったかと思いますが、数カ月でキャッチアップして、最後の校正プロセスでは私の書き間違いを指摘するレベルになっていただいたほどで、相当に勉強されたのではないでしょうか。
こちらの専門性にキャッチアップする一方で、IT専門知識がない経営層に届くように、「この表現は専門的すぎます」と的確に指摘してくれたことも心強かったですね。自社サイトにコンテンツを掲載する場合は、第三者のチェックは入りませんが、編集者の客観的な目が入ることは企業出版の大きなメリットでした。
――1冊目『データドリブン経営の不都合な真実』は2023年1月、2冊目『データドリブン経営実践バイブル: DXグランドデザインの推進方法論』は2024年2月の発刊でした。書籍はどのように活用されましたか。
鍜治川 実際、書籍を読んで連絡をくださり、案件化したお客様もいらっしゃいました。これまで直接ご相談いただく案件は多くありませんでしたが、最近は直接案件も増加傾向にあり、書籍の販促効果が出ていると思います。
また、社内ナレッジの整理にも役立っています。弊社のコンサルタントやエンジニア全員に配布しており、研修資料として、また、日々の業務で迷いが生じて基本に立ち返りたいときのバイブルとして活用できております。
山内 マーケティング面では、書籍は販促品として活用しており、イベントやセミナーのプレゼントとしての利用や、営業担当者から営業活動の一環として既存のお客様や新規案件のお客様にお渡ししております。
データ利活用に課題をお持ちのお客様から、書籍の目次をきっかけに自社の課題をお話ししていただくこともあります。「書籍を発行している会社」であることが、お客様に対して心理的な信頼を与えているようです。書籍は段ボールに入れて営業担当がいつでも持ち出せるようにしておりますが、1箱が2カ月でなくなってしまうほどの活用状況です。営業担当者からも、「書籍がドアオープナーとして効果を発揮している」という声も上がっております。
また、採用活動においても書籍の効果がじわじわと表れています。ご存じのようにIT業界は人手不足で、人材の獲得競争になっています。採用の面で弊社のような中小企業は認知度の点で不利ですが、書籍を出版したことで、「ITとデータで社会に貢献している企業」というイメージが広がり、コンサルタント志望の応募者が増えました。さらに、内定者には書籍をお渡しして、弊社の仕事内容のイメージをつかんでもらうのにも役立っています。
――3冊目発刊の経緯を教えてください。
鍜治川 最初の2冊の出版後、お客様から「より具体的な方法論を教えてほしい」というご要望をいただきました。そうした声が上がるのも経営層の問題意識を醸成できたからだとの理解です。そのため、2025年7月発売の3冊目『次世代DXの設計図:生成AIで切り拓く経営革新』は、SAP製品と生成AIのエキスパートを執筆陣に加えて、弊社のDX開発方法論を最新の状況にアップデートした内容になっています。
実は執筆陣の一人である塩見鉄平さんは、かねて病を抱えながら業務および本書籍の執筆を行っていたのですが、執筆後に急逝されました。とても残念ですが、ご両親にとってもこの書籍はご子息が仕事をやりきった証の1つになったのではないかと感じております。生涯、物として残る書籍の良さを、思わぬところで感じています。
――最後に企業出版を検討中の方にメッセージをお願いします。
山内 書籍は息の長いメディアであり、その効果はボディーブローのようにじわじわと広がっていきます。最近では、社内でも「私も執筆に挑戦したい」という声が上がるようになり、社内の活性化にもつながり始めています。中長期的な視点で、会社の成長を目指す企業にとって、書籍出版は有力な選択肢の1つだと考えています。
【グランバレイについて】
グランバレイは、特定のIT製品やベンダーに依存しない中立的な立ち位置で、顧客に寄り添ったコンサルティングサービスを提供する「データ×経営のスペシャリスト」集団。AIや機械学習、統計解析など、最新のテクノロジーを駆使したデータ分析によって、多数の企業のデータ駆動型経営の実現を支援。2005年の創業以来、SAP導入企業を中心に国内外各産業の有力企業の経営管理システム構築に携わる。
URL: www.granvalley.co.jp




